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【現代ビジネス研究所・研究助成金採択プロジェクト】地域の加工技術とグローバル優位性(金沢の地場産業調査)

「dining gallery 銀座の金沢」ヒアリング

今年度からこのプロジェクトに参加させて頂きました、

国際学部英語コミュニケーション学科1年 羽賀 恋(はが こころ)です。

 

今回は、9月2日(木)に実施しました「dining gallery銀座の金沢」のヒアリングについてご報告します。

 

本来なら、金沢まで足を運び、日本の代表的な焼き物である「九谷焼」の調査などのプロジェクト活動を進める予定でした。

しかし、コロナ禍で現地調査をすることが難しく、今回は、感染対策を徹底し、密を避ける形で、わたくし羽賀が、プロジェクトの学生を代表して、学生の指導教授である磯野彰彦先生に同行いただき、東京の銀座1丁目にある「dining gallery銀座の金沢」を訪問し、お話を伺ってきました。

 

「dining gallery 銀座の金沢」(http://ginzanokanazawa.jp/)は、一般社団法人金沢クラフトビジネス創造機構さんが、今から7年前、北陸新幹線が開通する半年ほど前に開設したお店です。

金沢で受け継がれる「伝統工芸」「美術工芸」の技術と、金沢の風土や生活文化と結びついた「生活工芸」など幅広い工芸を展示・販売しています。

東京の中心にオープンした「金沢のアンテナショップ」といったような存在です。

実は、レストランが併設されているのですが、コロナのため、私たちが訪問した時期はお休みでした。工芸品の展示をダイニングスペースに広げることもあるそうです。

 

今回、このタイミングで伺わせて頂いた大きな理由は、昨年度、このプロジェクトの先輩方が金沢でヒアリングさせて頂いた「赤地陶房」の企画展「赤地陶房のうつわ展Vol.4 九谷五彩、赤絵、染付」が8月18日から9月6日まで、ここで開催されていたからです。

 

なお、昨年のヒアリングは3回シリーズでS-LABOに掲載され、1回目の記事はこれです。

赤地陶房ー「雑器」の美①ー

 

(写真①ギャラリー入口 出所:羽賀 撮影)

 

 

~こだわりの展示空間~ 

取材に快くご協力してくださったのが、「銀座の金沢」ディレクターの浜辺佳奈(はまべ・かな)さんです。お忙しい中、丁寧に対応して頂き、貴重なお話をお伺いすることができました。

 

「銀座の金沢」は銀座の中心である4丁目の交差点から京橋方面に数分歩いたビルの6階にあります。

 

お店に入って右側の展示スペースに入ると、赤地健さんの美しく荘厳な作風の陶器や、径さんの華やかで可愛らしい器たちがすっと見渡せる素敵な空間が広がります。ガラスを通した採光により、とても明るく感じます。

(写真②展示空間 出所:羽賀 撮影)

 

浜辺さんにディスプレイの工夫をお聞きしました。

 

「同じ柄ごとにまとめる」おそばを食べるときに使う器類でまとめる」というように、まとめることを意識して、陳列しているそうです。

それは、「お客様に自分の欲しいものを見つけてほしい、という思いから」とのこと。

 

取材中にも、6つあるうちの一つの商品が売れ、残る5つでディスプレイを再度作り直す場面に立ち会わせてもらいました。

ここにも浜辺さんの展示空間に対する熱意と工夫が感じられます。

 

(写真③赤地径さん作品 出所:羽賀 撮影)

 

 

~ピンチをチャンスに~

コロナ禍により、全国から実際に金沢へ行くことが困難になりました。

それだけでなく、首都圏の人たちが「銀座の金沢」に出かける機会も減っています。

ですが、浜辺さんは、そのピンチをチャンスに変えておられます。

 

まずは、昨年スタートした「オンライン接客」です。

お客様がじっくり作品を見られるよう、スタッフがカメラを通じて1対1で対応します。

オンライン接客で作品をじっくりと見て商品を購入し、後日実際に「銀座の金沢」に来られて買い物をされるお客様もいらっしゃるそうです。

 

オンライン接客を始める前は、来店されるのは首都圏を中心としたお客様だったそうですが、オンライン接客を始めたことで、地方のお客様にも作品をじっくりとご覧になって頂けるようになりました。

 

オンライン接客は少し苦手というお客様もいると思います。私たちの世代はちょっと敷居が高く、「オンラインショップ」のほうが利用しやすいかもしれません。

 

オンラインショップ」も展示空間と同様、上品な佇まいが感じられます。

「自分の欲しいものを見つけてほしい」という浜辺さんの思いは、たとえ商品を自分の手に取ってみなくても、オンラインショップの「上品」で「すっきりとした」レイアウトのスペース上で十分に可能になるのです。

 

1つ1つ手作業で作り上げられ、柄の違う作品たち。

時には、オンラインショップを通じて想像していた作品のイメージとは異なる商品が届くことがあるかもしれません。でも、それも楽しみでもあり、工芸品の良さでもあると私は思いました。

 

(写真④取材風景 出所:磯野先生 撮影)

 

 

~これから~

個人的なことも含めて、浜辺さんに、これからの展望をお聞きしました。

 

浜辺さんは、石川県金沢市のご出身で、ミス百万石に選ばれ、観光協会のお仕事をされたこともあるそうです。高校卒業後、大学から東京で学ばれ、さらに看護師の資格をお持ちです。

 

そういう浜辺さんがこれから大切にしたいのは「もっともっと商品を魅力的にお見せし、お客様に楽しんで頂けるようにしていきたい」ということ。

 

そのために、スタッフさんたちと一緒に金沢に研修に行くこともあるそうです。

 

「作家さんのことを知っているか、直接お会いしたことがあるかないかで、全然違うと思う」とおっしゃる浜辺さん。
作家さんとは、日々、メールでやり取りするなどして、交流を大切にしておられます。

 

私は滋賀県大津市の出身で、地元と東京の温度差を感じることがあります。

そのような私が「銀座の金沢」を訪問した際に、なんともいえない「温かみ」を感じました。

その時には、それが何かはっきりとは分からなかったのですが、浜辺さんのお話を思い出しながら、地道な工夫作家さんへの配慮スタッフさんの育成、、、そんな日々の取り組みの積み重ねが「銀座の金沢」を温かみのある、素敵な空間にさせているのだと思いました。

 

 

今回ご協力頂いた

金沢クラフトビジネス創造機構専務理事事務局長の新木伊知子(しんき・いちこ)様、「銀座の金沢」ディレクターの浜辺佳奈様に深く感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。

(英語コミュニケーション学科1年 羽賀 恋)

 

(写真⑤左から、磯野先生、浜辺さん、羽賀

出所:銀座の金沢 スタッフさん 撮影)