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【現代ビジネス研究所・研究助成金採択プロジェクト】地域の加工技術とグローバル優位性(金沢の地場産業調査)

赤地陶房ー「雑器」の美①ー

こんにちは。金沢プロジェクト 現代教養学科4年近藤菜々子(こんどう・ななこ)です。

今年度の金沢プロジェクトのテーマは「金沢の地場産業 伝統工芸に携わる作家、職人について知る」です。

金沢プロジェクトメンバーを中心として、金沢工業大学大砂雅子(おおすな・まさこ)教授及び金沢クラフトビジネス創造機構 新木伊知子(しんき・いちこ)専務理事・事務局長のご協力のもと、地元金沢でプロジェクトの調査を行うことができました。

 

具体的には、11月17日に「赤地陶房(あかじ・とうぼう)」、18日に「金沢卯辰山工芸工房(かなざわうたつやまこうげいこうぼう」でヒアリングを行いました。

「赤地陶房」では、赤地夫妻がどのような考えを持ち、日々器づくりに携わっているのかをお話しいただきました。

 

参加者は、金沢工業大学産学連携室 大砂雅子教授、

現代教養学4年 近藤菜々子、国際学科3年 黒保奈那(くろやす・なな)です。

今回は九谷焼についての説明と「赤地陶房」と赤地径(あかじ・けい)さんのご経歴をご紹介します。

 

1.赤地陶房とは?

「赤地陶房」は石川県金沢市の桂町にある、九谷焼の技法を使い、器づくりを行っている陶房です。赤地陶房は、赤地径さん(1972年生まれ)の父赤地健(あかじ・けん、1938年生まれ)」さんが、1965年に独立してスタートしました。健さんは絵付け職人に弟子入りし、日展(日本美術展覧会)などに作品を出展されていました。また、生活の道具などを作り手の感性で作る「クラフト運動」に長い間携わっていらっしゃいました。父親の作品を継承して、作品創りを行ったのが赤地径さんです。現在は奥様の映里さんとお二人で、九谷焼の技法をもとにした器づくりから販売店や展示会に向けた業務を担われています。

 

2.赤地陶房の器と九谷焼

九谷焼は、石川県の能美(のみ)市や小松市を中心に作られていますが、かつては「金沢九谷」としての作家が沢山いたそうです。九谷焼の基本的な技法は、呉須(ごす)と呼ばれる黒色で線が描かれ、「五彩」と呼ばれる赤、黄、緑、紫、紺青の5色で絵具を厚く盛り上げるものです。伝統的な九谷焼では、絵付師と作る人が分かれています。これは、ろくろをすると手が震えてしまい、絵付けができないということからです。現在では両方行う人や分業形態で行う人など様々です。

 

その両方の過程を一人で行った先駆者が健さんでした。60年のキャリアを持ち、かつては「九谷の革命児」とも呼ばれた健さんですが、「伝統工芸」からは少し外れており、当時は「これは九谷ではない」と評価を受けていたこともあったそうです。

赤地陶房で作られる器は小松にある九谷の粘土と絵具を使用しているため、分類するのであれば「金沢九谷」にあたります。径さん自身は「伝統工芸品」を作っているというよりも「器」を作っているという認識を持っているそうです。

 

写真1: 径さんにより絵付けされた器が並べられている。

出所: 黒保奈那 撮影

 

3.赤地径さんが九谷焼での器づくりをしていこうと決めたきっかけ

径さんは、父健さんの勧めで「九谷焼技術研究所」に入りました。その後、岐阜県の「多治見陶磁器研究所」で半年学ばれました。25歳で九谷焼を仕事にすると決め、そこから活躍されています。

多治見の磁器と九谷焼は、デザインや作られる目的が真反対の存在でした。多治見研究所での器づくりは、業務用の皿や造形的な現代陶芸作品など多様な焼き物・安物から高級品まで窯業全般を扱います。そして、土とどう向き合うか、自分を土で表現するかが重要視されていました。

一方、九谷焼は江戸時代からの歴史を有する伝統工芸であり、一般的なイメージとしては、様々な絵付け様式を有する美術工芸品という位置づけです。径さんは、異なる場所で学んだことにより、九谷焼の「道具としての美」に気づきます。それと同時にそれこそが父の作品であり、その作品の魅力に気づき、父の意思をつないでいこうと考えるに至ったそうです。

 

径さんは今の器づくりで直接多治見は影響していないが、「ものの考え方やものの見方など、考えるきっかけや、刺激にはなっている」と答えてくれました。径さん自身は、民芸や京都生まれの芸術家、北大路 魯山人(きたおおじ・ろさんじん=1959年に76歳で没。)に影響を受けているそうです。

 

 

今回主にお聞きしたのは「赤地陶房」のはじまりと赤地径さんが九谷焼の技法で、器を作っていこうと決めたきっかけについてでした。

次回は、赤地陶房の器がどのような考えで作られ、販売されているのかを紹介します。

 

参考サイト(九谷焼の説明をするにあたってこちらのウェブサイトを参考にしました。)

いいね金沢

https://www4.city.kanazawa.lg.jp/s/17003/dentou/kougei/tougei/kutani_what.html

アクセス日 2020年1月6日

https://www4.city.kanazawa.lg.jp/s/17003/dentou/kougei/tougei/index.html

アクセス日 2020年1月6日