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【現代ビジネス研究所・研究助成金採択プロジェクト】燕三条地域の加工技術とグローバル優位性~産業集積を支えるものづくりのDNAを探る

燕・台湾プロジェクト成果報告

2018年度に「燕三条プロジェクト」としてスタートした1年目は、「燕三条の産業・企業を知る」をテーマとして、三条出身の学生を中心に、公益財団法人燕三条地場産業振興センターの協力を得ながら、燕と三条の地域研究及び燕企業及び三条企業の経営者へのヒアリングを行いました。こうした調査活動を通じて、特に燕市や燕企業側のニーズとして、海外との連携を望む声があり、また特に金属加工分野においてグローバル優位性があることが分かりました。

 

2年目の2019年度には、金属洋食器や金属部品分野において世界的にも有名な「燕」地域に焦点を当て、「燕地域の海外ニーズを知る」ことを目的に、「燕・台湾プロジェクト」は、燕市及び公益社団法人つばめいと(以下、つばめいと)と連携し、燕市の企業への海外、特に台湾との連携ニーズに関するヒアリングを実施しました。2020年1月11日~13日には、燕市の企業経営者と共に、台湾開南大学及び桃園市政府、台日商務交流協進会、台湾経済部台日産業連携推進オフィス(TJPO)、日本台湾交流協会台北事務所を訪問し、台湾側でも燕市及び燕企業との連携ニーズがあることが確認されました。

 

そして、3年目を迎えた今年2020年度事業では、「燕と台湾を繋ぐ」ための様々な事業を実施いたしました。また、今年度では、燕プロジェクトの他、金沢プロジェクトも同時並行しており、他地域における調査も少しずつ進めています。コロナ禍で台湾に渡航が出来ない状況下において、燕・台湾プロジェクトでは、昨年訪問した台湾の行政機関や経済団体、大学及び日本の自治体や地域企業の皆様のニーズを受けて、台湾側との調整や事業協力を行うこととなりました。その結果、10月に2件、12月に1件の合計3件のセミナー、商談会、及びMOU(業務提携協力覚書)締結式の開催について実施協力を行いましたので、以下ご報告いたします。

 

まずは、10月16日に、「2020台日企業貿易経済技術交流オンライン商談会」(主催:経済部国際貿易局、台日商務交流協進会 共催:昭和女子大学現代ビジネス研究所燕・台湾プロジェクト)を開催いたしました。昨年訪問した台湾経済部事業を担う台日商務交流協進会から、燕のほか、各地域の企業様と台湾企業とのマッチングの機会を作って欲しいという希望があり、実現したものです。当日は、茨城県、大分県、大阪府、徳島県、福井県の6拠点6社の企業と台湾の世界貿易センター会議室をオンラインで繋ぎ、延べ50社の台湾企業との商談が行われました。

 

写真1: 2020年10月16日開催「2020台日企業貿易経済技術交流オンライン商談会」

台日商務交流協進会鄭世松名誉顧問ご挨拶

出所:台日商務交流協進会提供

 

また台日商務交流協進会とは、昨年の当プロジェクト活動で一緒に訪問したつばめいととの連携も進んでいます。燕市及びつばめいとは、2020度日本台湾交流協会事業「日台産業協力架け橋プロジェクト」に採択されており、燕市では、コロナ禍においても、台湾企業とのビジネス連携を求める燕企業の期待が高まっています。そのため、当プロジェクトは、つばめいとからの要請を受け、2020年10月27日に「2020台湾・新潟/燕ものづくりオンライン商談会・MOU締結式」(主催:経済部国際貿易局、台日商務交流協進会 共催:燕市役所、公益社団法人つばめいと、昭和女子大学現代ビジネス研究所燕・台湾プロジェクト)を開催しました。ここでは、「つばめいと」と「台日商務交流協進会」との間で、貿易・産業協力の相互交流を目指すMOUが締結されました。

 

写真2:2020年10月27日開催「2020台湾・新潟/燕ものづくりオンライン商談会・MOU締結式」

出所: 台日商務交流協進会提供

 

当日は、台日商務交流協進会鄭世松最高顧問、経済部国際貿易局簡志宇経済副参事、日本台湾交流協会台北事務所星野光明首席副代表が台湾会場から、公益社団法人つばめいと山後春信代表理事、新潟県燕市産業振興部遠藤一真部長が燕会場から、そして昭和女子大学理事・キャリア支援センター長磯野彰彦教授にも東京会場からご挨拶を頂きました。

またMOU締結式開催後においては、協進会会員と燕企業7社(長谷川挽物製作所、株式会社阿部工業、株式会社カンダ、株式会社新越ワークス、株式会社エステーリンク、株式会社ゴトウ熔接、株式会社大泉物産)によるオンライン個別商談が行われました。

この商談会では、つばめいとから派生した民間企業、株式会社つばめいとが作成した、ビジネスマッチングサイト「FACTARIUM」(https://factarium.jp/)が公開され、台湾企業の関心も高かったようでした。

 

さらに、2020年12月9日には、「桃園市工商發展投資策進會、開南大學、つばめいと MOU締結式・オンラインセミナー」(主催:公益社団法人つばめいと、 開南大学、 桃園市工商発展投資策進会、共催:日本台湾交流協会、桃園市政府、燕市役所、昭和女子大学現代ビジネス研究所燕・台湾プロジェクト)を開催いたしました。日本側からは、台湾交流協会東京本部荒井浩部長、鈴木力燕市長(議会中のためビデオ参加)、燕市産業振興部商工振興課山崎聡子課長補佐、つばめいと山後春信代表理事が出席しました。また、桃園市からは、高安邦副市長、桃園市工商発展投資策進会陳家濬總幹事、范鈺賓幹事が、開南大学からは梁榮輝校長、高立箴商学院長、趙順文元文学院長が出席し、産学官による燕と桃園間の産業交流に関するMOUが締結されました。

 

写真5: 2020年12月9日開催「桃園市工商發展投資策進會、開南大學、つばめいとMOU締結式及びオンラインセミナー」

出所: 開南大学提供

 

当日のオンラインセミナーでは、桃園市政府からは、楊勝評観光局長の挨拶、桃園市内の貿易投資の現状や観光についての動画が放映されました。また、燕市からは、「FACTARIUM」の紹介とインバウンド産業観光を推進する「株式会社つくる」の事業紹介が行われました。今後コロナが収束したのち、燕市及びつばめいとが台湾を訪問し交流を行い、桃園市政府や開南大学から燕市を訪問することを相互に確認することができ、最後は双方笑顔で手を振り合うなど、楽しくそしてお互い名残惜しい気持ちでの終了となりました。

 

燕は、江戸時代からの伝承技術が発展・集積した地域であり、さらに、燕の金属加工産業は、生産技術の向上や多能工化、そして顧客ニーズに合わせた新製品開発などによって、時代の変化に併せたイノベーションも創出され、新分野や新産業への展開も成功しているといわれています。高品質かつ機能的な燕の製品や部品は、明治時代から、欧米諸国に輸出されるなど、海外展開も積極的に行われています。

 

今年度燕市及びつばめいとが採択された「日台産業協力架け橋プロジェクト」のテーマは、「新潟県燕市/台湾桃園市の産学官連携による技術連携プロジェクト」です。つばめいとは、台湾・桃園市と燕市との産業交流連携のもと、桃園市の「IoT・医療機器・医療用具連盟」と燕市IoT推進事業及び加工技術の情報発信サイト「FACTARIUM」を中心とした、IoT・医療機器分野における産官学での新産業・ビジネス創出を目的とするプラットフォームの形成を目指していくとのことです。

 

燕市およびつばめいとの活動を、当プロジェクトでは引き続き応援していきます。

 

 

現代ビジネス研究所 研究員

燕・台湾プロジェクトリーダー

根橋玲子