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【現代ビジネス研究所・研究助成金採択プロジェクト】地域の加工技術とグローバル優位性(金沢の地場産業調査)

福光屋様へのヒアリング

 

皆さんこんにちは。人間社会学部 現代教養学科1年の松田歩美(まつだ・ふみ)です。

今回は9月26日にzoomを通して行われました、福光屋様へのヒアリングについてご報告いたします。

 

参加者は株式会社福光屋様からは、常務取締役 海外市場室長の利岡祥子(としおか・さちこ)様と企画広報室長の岡本亜矢乃(おかもと・あやの)様の2名がご出席。当プロジェクトからは、プロジェクトリーダーの根橋玲子研究員磯野彰彦先生(キャリア支援センター長)、川崎保弘研究員、金沢工業大学産学連携室の大砂雅子教授、人間社会学部現代教養学科1年 松田歩美、福祉社会学科1年 石綿沙也香が出席しました。

 

(中段右の写真の左側が利岡祥子様、右側が岡本亜矢乃様。上段中央が松田歩美)

 

株式会社福光屋様は1625年創業の金沢で最も長い歴史を持つ酒蔵です。2001年には純米蔵を実現し、現在は長年培ってきた米醗酵技術を生かして、化粧品や食品開発にも取り組んでいます。日本文化としての日本酒を国内外に発信することに力を入れ、直営店の運営や海外への輸出も展開しています。

 

福光屋オフィシャルサイト (https://www.fukumitsuya.co.jp)

 

福光屋様は、家訓である、

「伝統は革新の連続なり」を軸に、

「仕事をつぐな 理念を継げ」

「会社はお客様のためにある」

「経営は時代の変化との戦い」

「ご縁が革新の素となる」

「三方よし(売り手よし 買い手よし 世間よし)」

を大切にして、時代に望まれる味わい、新たな商品、サービスを創造していくことで、長い間人々に愛されてきた企業です。

 

特に1990年代からは女性をターゲットに、日本酒の「おやじくさい」、「ダサい飲み物」というイメージを払拭することに重点を置いてきたそうです。

女性をターゲットにしたのは、女性の就業率の高まりによって経済力を持ち始めていたことに加え、男性に比べ、味や香りの弁別能力が高い食事を楽しむ習慣がある口コミ力が高いなどの理由があります。

 

また、今後は金沢という地域性発酵技術酵母仕込みに使う百年水純米蔵であることのほか、有機認証や、動物由来の原料を使わないヴィーガン認証などを活かし、国内外の自然派志向の健康、美容市場をターゲットにしていく計画とお聞きしました。

 

早い時期から女性市場に着目し、日本酒のイメージを変革していく活動は、女性の更なる活躍を応援することにもつながっていると私は思いました。

また、福光屋様は日本酒を製造し、販売するだけでなく、老舗の酒蔵というカテゴリーを超えて、社会に大きな影響を与えてきたのではないでしょうか。

企業が長く続いていくには、先を読む力と社会の発展に貢献する姿勢が必要なのだと感じました。

 

今回のヒアリングでは、福光屋様の業務と製品について、また、製品開発やマーケティングについて、海外展開についてなど、たくさん質問をさせていただき、大変勉強になりました。

 

その中で、食品や化粧品などの日本酒以外の製品についてお聞きした際、岡本様が

「福光屋の本業が日本酒の醸造でなくなる時代もそう遠くないのではないか。」「福光屋は化粧品の会社だと思っていたと言われる時代が来てもいいのではないか。」

とおっしゃっていたのが特に印象に残りました。

 

日本酒の醸造は現在まで長く続いてきた伝統技能であり、今後も日本酒をメインで業務を続けていくという「老舗酒蔵」のイメージがあったので驚きました。

金沢という地域性や今まで培ってきた技術や経験を応用し、時代の変化に対応して恐れずに変革を進めていく姿勢も、福光屋様が現代まで発展し続けている理由であると考えます。

(1990年に日本酒の中でも美容効果が高い純米酒を化粧水として発売した「すっぴん」。東京都港区赤坂の「東京ミッドタウン店」で松田歩美撮影)

 

グローバル展開についても、常務取締役で海外市場室長の利岡祥子様から、現状や今後について詳しくお聞きすることができました。

具体的には、国や地域によって好まれるお酒の種類の違い、売り上げに対する輸出、酒器などの金沢地場製品の輸出可能性などについてお聞きしました。

海外における日本酒の認知の高まりにより、海外で好まれる味の特徴があること、また食品などの単価が低い製品の輸出の難しさなど、海外市場の研究についても力を入れていると感じました。

 

少子高齢化が進む日本市場の状況から推察し、今後の売上増加は、「海外市場の富裕層マーケティングを強化することでしか見込めない」とのことでした。私は福光屋様の仰るように、日本の地場産業の多くは海外展開の必要性を感じているのではないかと思いました。また、そのために必要なこととはなにか、もっと勉強して私たちの考えを深めていきたいと思います。

 

今回ご協力いただいた、株式会社福光屋様の常務取締役で海外市場室長の利岡祥子様、企画広報室長の岡本亜矢乃様、本当にありがとうございました。

 

さらに11月22日(月)14時から小1時間ほど、福光屋様の東京ミッドタウン店にお伺いし、写真を撮らせていただきました。

商品の陳列写真は東京ミッドタウン店で撮影したものです。

 

店舗を訪れて実際に商品とそれを手に取るお客様の様子を、実際に見せて頂くことができました。店舗は客層や接客、商品のレイアウトなどに高級感があり、丁寧に作られた商品をより一層引き立たせる空間と感じました。

また、ヒアリングでお聞きした「ターゲット層」である、健康や美容志向のお客様向けの商品も大変充実していました。

(お店ではお客様に合った陳列や商品の展開を工夫しています)

(これは化粧品のコーナー)

(冷蔵して販売する商品も多数あります)

(日本酒以外に、一緒に楽しむおつまみや酒器、九谷焼のお皿なども魅力です)

(奥が東結花様、手前が私松田歩美。磯野彰彦先生撮影)

 

最後に、今回ヒアリングに対応して頂きました、株式会社福光屋 常務取締役 海外市場室長 利岡祥子様、企画広報室長 岡本亜矢乃様、そして開発本部店舗事業部所属で、東京ミッドタウン店サブリーダーの東結花(ひがし・ゆか)様には、心より御礼申し上げます。また、東様には、店舗でのご説明等、丁寧に対応していただきまして、本当にありがとうございました。

 

現代教養学科1年 松田歩美