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【現代ビジネス研究所・研究助成金採択プロジェクト】地域の加工技術とグローバル優位性(金沢の地場産業調査)

工芸のまち 金沢 ―金沢クラフトビジネス創造機構の取り組み①―

今年度から本格的に当プロジェクトに参加させていただきました。

現代教養学科 4年 近藤菜々子です。

 

金沢プロジェクトでは、8月21日(金)に現地の工芸品に関わる職人や販売者、そして消費者についてより理解を深めるため、面談を行いました。

今回の面談にご協力いただいたのは、前回に続き大砂雅子(おおすな・まさこ)教授(金沢工業大学)と一般社団法人金沢クラフトビジネス創造機構」で専務理事をされている、

新木伊知子(しんき・いちこ)さんです。

新木さんは以前金沢市役所で部長職を務められており、市の産業局クラフト政策推進課を担当していたこともあり、当機構でご活躍されています。面談内容は金沢クラフトビジネス創造機構の概要から始まり、石川県及び金沢市の工芸全般に関する現状や取り組みなど多岐にわたりました。

 

今回は、「金沢クラフトビジネス創造機構」の設立や活動についてご紹介します。

 

1.「金沢クラフトビジネス創造機構」の概要

2005年にクラフト機構の前身ともいえる「金沢ファッション産業創造機構」が創設されました。(ファッションというキーワードが含まれていますが、布物だけではなく生活文化全般にかかわる工芸品が対象)

その後、2009年6月に金沢市はユネスコのクラフト創造都市に認定されました。それを受けて以前からある多数の工芸品をビジネスに特化した事業展開を行うことになり、販路拡大のため組織が改編され、2011年7月に現在の「金沢クラフトビジネス創造機構」となりました。

 

次にクラフト機構の主な活動についてです。クラフト機構では工芸品に関する展示会やイベントの実施を行っています。また、それらの参加者や金沢市の工芸作家研修施設や金沢美術工芸大学で技術を磨かれた方々をデータベース化しています。そのほか工芸に関する募集型のイベントが開催される際は、クラフト機構から情報を配信し作家のネットワーク強化をサポートしています。

また、工芸品の販売と展示を行う「金沢・クラフト広坂」、主に希少工芸品の販売店に加え、金沢の幅広い工芸を展示販売するギャラリーや、金沢の食材を楽しめるダイニングや文化体験ができる「dining gallery 銀座の金沢」の運営も行っています。

 

写真:1 「金沢・クラフト広坂」の1階ショッピングフロア

出所:「金沢・クラフト広坂」のウェブサイトより

 

2.工芸作家研鑽機関「金沢卯辰山工芸工房」との連携について

金沢市には「金沢卯辰山(うたつやま)工芸工房」という工芸作家の研修施設があります。この施設では高度な技術を習得するだけでなく、優れた工芸の継承発展と文化振興を図るため、設置されたものです。また一方で、1人の作り手として自立していくためのマーケティングノウハウや消費者視点をより学ぶという必要性がありました。

 

そこでクラフト機構は、毎年マーケティングノウハウや消費者の視点を学び、商品としての価値づけを開発する実践講座をスタートさせました。講座内容は座学から始まり、決定されたテーマに沿って1年間を通して作品制作を行います。最終的に展示会を開催し、消費者がどんな感想を持ったかなどを聞き、消費者からのリアルな声を捉えていける内容になっています。

 

3.地域のショップへの販売・広報支援

金沢市には工芸品を販売するショップやギャラリーが数多くあります。

近年では(特に今年はコロナ禍ということもあり)工芸品や作家を知ってもらい、購入に繋げる手段としてSNSの利用やECサイト・ポータルサイトの開設などが盛んになっているそうです。クラフト機構でも、オンラインサイトを持つギャラリーやショップのPRをするため、ポータルサイト「KOGEI MALL@KANAZAWA」(金沢工芸モール)を開設したり、希望するギャラリーへのECサイト作成レクチャーを行ったそうです。

初めは、「1つ1つの大きさや風合いが異なる工芸品はオンラインには向いていない」と考えていた新木さんですが、名前が知られている作家や工芸品そのものがとてもユニークであったりすると、「実物を見ることが無くても、購入してもらえるということが分かった。」とおっしゃっていました。

 

次回は、金沢市での作家支援や海外展開への展望についてお話しします。

お読みいただきありがとうございました。