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【現代ビジネス研究所・研究助成金採択プロジェクト】燕三条地域の加工技術とグローバル優位性~産業集積を支えるものづくりのDNAを探る

【2019年度調査報告】世界の医療機器産業を支える台湾ハイテククラスター~その6

5.まとめ~医療機器・福祉機器分野における燕三条と台湾の連携可能性

 

①台湾医療機器産業のボトルネックと日本の医療機器の市場可能性

 

台湾の医療機器産業のボトルネックとしては、高度医療機器製造には、さらに付加価値の高い技術や安全性の担保等、キーテクノロジーレベルでの技術導入が必要となっている。そのため、台湾では独自技術を有する日本の加工業者との協業への期待が高まっている。台湾の医療機器も海外での分業も検討している。 台湾当局も、医療機器分野におけるアジアでの拠点としての位置づけを狙っており、日本企業との協業ニーズは極めて高い。野村総研によれば、バイオ・医療に関連する台湾と日本企業との連携について、特定分野にビジネスチャンスがあるという。例えば、高度医療機器については、台湾はグローバル市場で高い競争力を持てるようなキーテクノロジーを持っておらず、日本企業との協業により、更なる市場開拓を望んでいる。台湾企業が、日本から医療機器の部材を輸入したり、台湾では難しい精密加工をOEM委託したりというニーズは高い。

 

日本企業側の医療機器分野における台湾企業との連携メリットとして、台湾の薬事制度は米国FDA認証へのハードルが日本よりも低く、臨床試験を行うだけであれば短期間での 推進が可能であることが挙げられる。臨床試験については、台湾では膨大な全民健康保険のビッグデータが存在しているほか、医薬品開発受託機関(CRO)が多く、台湾はCROに関する 法規定が日本よりは厳格でないため、日系企業も台湾のCROに多数受託している。(日本 JSRは CROを手がけるCrown社を完全子会化した。)

 

さらに、3Dプリンター医療機器については、台湾では産業界を挙げて積極的に推進されている。3D プリンターは複雑な構造や患者自身の骨格を再現した医療器材製することができるため、現在世界各国・地域 の形成・整外科、歯医療用補助具等分野において導入が進んでいる。台湾では既多くの民間企業、学会及び医療関係機が研究開発・製造に取り組んでおり、2018 年 1月 12 日に 台湾政府は 「3D プリンター医療器材管理ガイドライン」を策定し、製品開発段階における注意事項など、明確なガイドラインを表した。また、工業技術研究院は、南部サイエンスパーク高雄園区に台湾初となる「 3D プリンター医療器材スマート製造モデル区」を設置する予定である。モデル区にはスマート製造に必要な設備が導入され、入居企業が医療器材の開発・設計から商品化までのプロセス全てを行うことができることを目標にする。モデル区では国際基準を 満たす医療器材3D プリンターでの製造を行うことで、国際市場を視野に入れた産業育成を行っている。