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戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト

被団協文書整理会につきまして

こんにちは、プロジェクト担当教員の松田忍(歴文・日本近現代史)です。

昨日は被団協文書整理会がありまして私も参加してきました。

すでにブログでもご紹介しておりますとおり、「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」の栗原淑江さんに、歴史文化学科の学生と松田が協力する形で運営して参りました被団協文書整理会は、戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト発足の「母体」?「前史」?でもあります。

今日は被団協文書整理会のこれまでについて、振り返ってみようと思います。

栗原さんから参加学生リストをいただきまして、協力してくれた学生の延べ人数を学年別にカウントしてみました。特に注記がない学生の所属は歴史文化学科であります。

2008年入学組―1名(大学院時代に参加)

2011年入学組―1名

2012年入学組―7名(うち福祉社会学科1名)

2013年入学組―20名

2014年入学組―8名(うち英語コミュニケーション学科1名)

2015年入学組―26名(うち学習院大学史学科1名)

2016年入学組―6名(うち環境デザイン学科1名、学習院大学史学科1名)

2017年入学組―11名(うち日本語日本文学科1名)

2018年入学組―9名

以上の人数を合計すると、延べ参加学生数はなんと89名!!!

歴文以外の学科や他大学からも多数参加して下さって、みなさまのボランティアによって、ここまで史料整理を進めてくることができました。

また学生数にはカウントしていませんが、それ以外にもご協力下さった社会人の方も3名いらっしゃいます。

次に、記録写真で、2013年8月5日に開催された第1回被団協文書整理会から振り返っていきます。

第1回 2013年8月5日(参加人数2名)

記念すべき第1回の朝!これから整理される史料がダンボールに眠っています。

今は教師をしているSさん(当時大学院生)。微妙に若いぜ!笑

初回はこのメンバーだったんだ~。中央のIさんは初期の文書整理会をしっかり支えて下さいました。まだ史料整理用テーブルもなく、小さな円卓で作業やっていました。

第2回 2013年8月6日(3名)

初期の懐かしいメンバー!元気にやってるか~!?このなかには学問の道を志し、大学院進学したOGも!長崎出身のWさんはそのつながりで原爆へのご興味がありましたね。

写真には残っていませんが、この円卓は実は伸ばして大きくするギミックがあることを偶然発見し、みんなで大騒ぎしたのも良い思い出です笑

作業工程もこの頃は試行錯誤。「ホッチキス外し」→「袋に詰めて資料名を書く」→「栗原さん仮整理」→「史料リストに採録」の流れがだんだんと確立されていきました。

普通の史料整理だと「現状保存」が大原則であり、史料が積み重なっていた順番なども正確に記録していくのがセオリーでありまして、あとの利用者が史料の性格を推測するための材料を残す必要があるのですが、被団協文書整理会の場合は、日本被団協の事務職員をなさっていた栗原さん自身が各史料の作成時期や性格について、ほぼ完璧に把握なさっているおかげで、栗原さんが史料を分類して並べ直してから整理番号を振っています。このルールにすることにより、作業量を大幅に削減することができました。

歴史家は、関係者が亡くなってから史料整理に入ることも多いのですが、関係者の存命中に整理を始めることの大切さを痛感しております(栗原さんはお若いので、そんなことをいうと失礼になりますが)。また被爆者運動がそもそも「継承」を課題としていたが故に、史料の整理・保存・活用に敏感であり、だからこそ、まだ手遅れにならないうちに、ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会の活動が立ち上げられたんだろうなと思います。素晴らしいことだと思います。

第3回 2013年8月19日(3名)

第4回 2013年8月28日(4名)

第5回 2013年9月25日(4名)

第6回 2013年10月20日(4名)

第7回 2013年10月27日(2名)

この頃になるとテーブルも入れていただき、史料整理室がだんだんと整備されてきていますね。

整理するための文房具も徐々に充実。みんなで便利なグッズを見つけては持ちよっていました。「折原クリップ」とか「黒川クリップ」とか懷かしい笑 史料整理には金属はとにかく御法度なんですよね。長期的に見ると錆びて紙を傷めてしまうから。

作業整理室は東京港区の愛宕山の麓のビルの一室にあります。東京23区内の最高峰である愛宕山には愛宕神社があります。作業終了後、散歩して帰ったりもよくしました。

愛宕神社参道の「出世の階段」。この急な階段を馬でのぼった武士が徳川家光から褒美をもらったとの故事にちなみます。この当時はまだ何も説明とか無いのですが、今は観光地(?)として整備され、平日でもたくさんの人がいらしてますね~。

第8回 2014年7月27日(3名)

史料整理会2年目。みんな「夏!」って感じの服装ですね。整理会は夏休み、冬休み、春休みを中心に開催してきました。ここに写っているメンバーはのちに松田ゼミに入って、素晴らしい卒論を書いたみなさんです。まだこの時は2年生かな?史料整理しながら「どこのゼミはいるか迷ってるんですよ~」など、たくさんの相談に乗りました。

着々と「もんじょ箱」に史料が収められていますね。史料整理は「もんじょ箱」が1人で組み立てられるようになって一人前!!笑

とにかくホッチキス外しが大変です。

第9回 2014年8月2日(5名)

第10回 2014年8月3日(5名)

第11回 2014年8月4日(5名)

なんかめっちゃ嬉しそうなYさん。ほとんどの記録用写真は真面目な雰囲気で撮影していますが「史料整理はおしゃべりしながらじゃないとだめだ!」が松田のモットーです!!史料を冷静に読むためには、史料との「距離感の取り方」が大事だからです。

松田が学生時代に参加させていただいた房総史料調査会がそんな雰囲気でありました。15時くらいを過ぎると、みんな手を動かしながらも「酒の話」と「飯の話」しかしないという雰囲気でして、「日本史学科は日本酒学科である」との最も重要なことを教えて頂きました笑

あ、これは真面目な話ですが、フォローじゃなく事実として、房総史料調査会は近世や近代の古文書を「現状記録」しつつ、保存・活用していくノウハウを編み出してきた草分け的な団体であります。史料整理とそれを活用した研究双方の面における学問的貢献は多大なるものがありますし、多くの研究者を輩出して、全国各地に「史料保存」「史料整理」の種を蒔いてきた団体です。私は少ししか参加できませんでしたが、房総史料調査会で学んだ現状記録の精神はとても貴重でありまして、今でも史料整理をしていて判断に迷うことがあったときに、真っ先に考えるのは「房総史料調査会ならどのようにするだろうか」です。学生の皆さんも史料整理をもっとやってみたければ、是非ご参加になってみて下さい!

ちなみに被団協文書整理会では昼食はよく一緒にとりますが、お酒を飲むことはありませんのでご安心を笑 整理室が港区の虎ノ門ヒルズのすぐそばなので、近くにオシャレなレストランがたくさんあるんですよね!昨日もヒルズの香港料理のお店で食事を取りました。

お、Aさんも参加してもらってたんだな~。本当にたくさんのメンバーに支えられて、史料整理をやってきました。

第12回 2014年8月5日(5名)

仲のいいお二人での参加!奥のKさんはつい最近一緒に食事しました。手前のKさんは読んでいるうちに被団協文書に興味がでてきて、色々と調べていらしたことを思い出します。卒業後、元気にやってるか~!?

史料整理していると本当にいろんな史料がでてきます。その度に手を止めて、栗原さんに「これなんの史料ですか?」と質問をします。栗原さんは被団協の事務局にいらした方で、本当に何を聞いてもご存じで、すぐに答えて下さいます!

第13回 2014年8月8日(4名)

第14回 2014年8月9日(4名)

ダンボール箱から出てくるのはほとんどが文字史料ですが、ときどきモノもでてきます。これは手拭いですね。

この手拭いには「被爆者とともに築かむ うつしよに(世耳) 核兵器なき とわ(登王)の 平和を」とあります。

そういえば厚生省前にテントを張って泊まり込みの活動をしたときの火鉢なんかも日本被団協の事務所から出てきたそうです笑

第15回 2014年8月10日(6名)

新しく史料整理室に運び込まれたダンボール。ものすごい量です!!史料は次から次へと運び込まれます。そろそろ日本被団協の史料整理が一段落して、個人や地方団体の史料整理に手を付け始めた頃かな?

この写真自体は2014年8月28日撮影でありまして、当時の記録をみると、運び込まれた史料を確認して、整理方針を決めるために栗原さんと松田の2人で打合せをしたときのものかなと思います。

第16回 2014年9月4日(5名)

第17回 2014年9月5日(3名)

第18回 2014年9月11日(5名)

第19回 2014年9月12日(4名)

第20回 2014年9月16日(5名)

第21回 2014年9月18日(3名)

第22回 2014年12月14日(3名)

第23回 2014年12月20日(4名)

第24回 2014年12月21日(5名)

この頃には被団協文書整理名物、カラフルなプラスティックガチャックが導入されていますね。このガチャックも今は入手困難になってしまったそうです。

栗原さんとIさん。Iさんは本当にたくさん参加してくださいました。卒業して社会人になってからもお菓子を持って激励にいらしてくださったりして。

第25回 2015年2月19日(6名)

第26回 2015年2月24日(4名)

第27回 2015年3月3日(5名)

第28回 2015年3月5日(6名)

第29回 2015年3月10日(5名)

第30回 2015年8月2日(5名)

第31回 2015年8月3日(4名)

第32回 2015年8月10日(5名)

このへんになると現4年生(この春卒業)が1年生の頃の様子ですね。彼女たちはその後、西洋史ゼミや民俗学ゼミに入っていったわけですが、どの分野を専門にするにせよ、せっかく歴史文化学科に入ったのだから、史料整理を経験して卒業していって欲しい!と切に願います。

興味のある史料がでてきたら、整理の手を止めて読み込む!それもまた大事!

第33回 2015年8月11日(4名)

第34回 2015年8月20日(2名―史料整理準備)

第35回 2015年8月22日(2名―史料整理準備)

第36回 2015年8月25日(2名―史料整理準備)

第37回 2015年8月27日(4名)

第38回 2015年8月29日(南浦和で書籍整理2名)

これは南浦和の資料庫立ち上げの様子です。

愛宕の史料整理室が満杯になってきたこと、そして書籍の受け入れもはじめたこともあり、ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会では新たに南浦和に史料保管庫を借りることになりました。これはその設営の様子ですね。

原爆関連書籍も大量にあります。こちらは一橋大学の濱谷正晴先生を中心に整理が進められています。

史料保管庫のようす。愛宕で整理された史料は「もんじょ箱」につめて、こんな感じで保存されています。

第39回 2015年9月1日(4名)

第40回 2015年9月2日(南浦和で書籍整理2名)

第41回 2015年9月3日(史料整理5名/南浦和で書籍整理2名)

第42回 2015年9月7日(南浦和で書籍整理2名)

第43回 2015年9月8日(5名)

第44回 2015年9月9日(南浦和で書籍整理1名)

第45回 2015年12月5日(2名)

第46回 2015年12月6日(2名)

第47回 2015年12月12日(3名)

第48回 2016年2月19日(5名)

第49回 2016年2月22日(5名)

第50回 2016年2月25日(4名)

第51回 2016年3月1日(5名)

第52回 2016年3月4日(3名)

第53回 2016年3月7日(3名)

第54回 2016年3月10日(4名)

第55回 2017年2月23日(4名)

第56回 2017年2月28日(3名)

第57回 2017年3月3日(4名)

第58回 2017年3月6日(5名)

記録写真の日付がちょっと飛びましたが、2017年の様子。

この時はたまたま松田ゼミメンバーばかりが参加していますね。みんな一生懸命作業しています。

第59回 2017年3月9日(4名)

第60回 2017年3月11日(3名)

第61回 2017年7月31日(5名)

第62回 2017年8月3日(5名)

第63回 2017年8月9日(5名)

このあたりになると本当に最近です。今の歴文2年生が1年生だった頃の写真。このときも本当にたくさんの学生が文書整理に応募してくださいました。

だいたいの文書整理会の流れとしては、ちょっと緊張しながら参加して、みんな栗原さんの優しさと温かさに感動して帰っていきます笑 そしてリピーターになって下さる学生も多数!あらためて写真を見返すと、こんなにもたくさんの学生をご指導いただいてきた栗原さんには感謝しきれません!!栗原さんがいらっしゃるから松田も安心して学生たちをお誘いできます。

写真に写る学生のマスク率が高いのは、戦後の新しめの史料とはいえ、それなりに埃っぽいからです。手を洗い、時計や指輪を外して、史料に触れるといった基本的なことも学びます。

第64回 2017年8月12日(5名)

第65回 2017年8月30日(5名)

第66回 2017年9月1日(5名)

第67回 2018年2月24日(4名)

第68回 2018年2月28日(5名)

第69回 2018年3月2日(5名)

第70回 2018年3月15日(5名)

第71回 2018年3月17日(5名)

第72回 2018年8月2日(5名)

第73回 2018年8月4日(4名)

第74回 2018年8月7日(5名)

第75回 2018年8月10日(2名)

第76回 2018年8月24日(5名)

第77回 2018年8月29日(5名)

2018年の8月は戦後史史料プロジェクトの活動の一環として、被団協文書整理会を位置づけ、史料整理もほとんどプロジェクトメンバーだけで進めました。席上で栗原さんからたくさんのご指導をいただき、被爆者運動についての理解を深めました。

第78回 2019年2月28日(3名)

第79回 2019年3月3日(4名)

第80回 2019年3月6日(3名)

第81回 2019年3月8日(6名)

そして昨日(3月8日)の整理の様子!本年度から「戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト」もはじまり、今まで以上に史料内容についての議論もしながら作業は進みます。

史料保存の手法も随分と確立されました!

そういえば文書整理会には必ず「3時のもぐもぐタイム」があります笑 いつも栗原さんが美味しいおやつとお茶を用意して下さいます。今まで撮影したことはなかったのですが、7年目にしてはじめての記録写真が!!吉村さん、写真撮ってくれてありがとう!

第82回 2019年3月14日(開催予定)

なんか急にこんな回顧記事を書くと、整理会が終わるかのようですが笑、そんなことはありません。

整理をまっている史料はまだまだありまして、これからも続いていきます。プロジェクトとは別に、被団協文書整理会のみの協力ボランティアも不定期に募集しておりますので、ご興味があれば是非松田までお問い合わせ下さいませ。