燕三条地域の加工技術とグローバル優位性
皆様こんにちは。会計ファイナンス学科1年の湯澤杏夏(ゆざわ・きょうか)です。
今年度から、「地域の加工技術とグローバル優位性」のプロジェクトに参加しております。
よろしくお願いいたします。
今回は、2024年9月24日に行われた「燕研修 ‐株式会社新越ワークス ヒアリング‐」についてご報告いたします。
新潟県燕市小関にある「株式会社新越ワークス」(https://www.shin-works.co.jp/)は主に、ざる などの業務用厨房用品が中心の「Three Snow」、家庭用のキッチン用品が中心の「UNIFLAME」や木質ペレットを燃料とする厨房用品の「warm Arts」という3つのブランドを扱っており、前身は創業者の山後信二氏が1963年に創立した新潟金網製造工場です。
写真1:株式会社新越ワークスの本社 出所:https://www.shin-works.co.jp/824
今回、取材に快くご協力してくださったのは、スリースノー事業部 取締役 事業部長 山後隼人様(31)です。
隼人氏は2代目山後春信会長の二男にあたります。
お忙しい中、丁寧に対応いただき、貴重なお話を伺うことができました。
‐ユーザーの思いを反映したものづくり‐
山後部長が考えるものづくりには、大きく分けて2種類あります。
ひとつは、時代に応じて需要がある分野に技術を転用する方法、もうひとつは現場の知恵として製造過程で余った素材から持ち合わせた設備で製品を作り出す方法です。
昔から金属加工が有名な燕では、工場が多く存在するため、後者が多く、この考え方は現代のリサイクルに類似しています。
また、燕の会社に依頼して制作しているため、燕の各工場についての理解が深いことも特徴です。
山後部長はこうしたものづくりに携わる中で、使い手の思いに応えることを最も重要視されています。
実際、販路や加工先を探しに現地まで赴くこともあるそうです。
これは、商品の誕生秘話などの「ものがたり」の要素を反映するためです。
一緒に学びあって成長していくことを目的としており、世の中の人に需要があるにもかかわらず、ニーズに上がってきていないものをくみ取るために、取材を行っているそうです。
こうした取り組みから、対面でのコミュニケーションを通して、ハイクオリティの製品にこだわる姿勢を強く感じました。
また、従業員の指導を行う際にも、ユーザーが喜ぶ景色を想像しながら仕事をすることの重要性を伝えているそうです。
今回、山後部長に2時間ほどヒアリングさせていただきましたが、全く話が途切れることなく、その熱意がひしひしと伝わり、自社製品や燕の工場に対する自信と誇りを感じました。
写真2:熱心に話される山後隼人部長(右) 撮影:磯野彰彦先生
‐今後の展望‐
これから更なる活躍が期待される「株式会社新越ワークス」。
その中枢を担う山後部長に今後の事業展開をお聞きしました。
まず、厨房用品だけでなく、設備、設計に絡めた販路の拡大です。
山後部長は厨房のあり方を日本の飲食業界とともに根幹から考えることを目指しています。
自身が手がける製品の枠を超えた事業を行うという大改革に果敢に挑む山後部長。
その姿に私も胸が熱くなりました。
次に、ギフト商品事業の拡大です。
「株式会社新越ワークス」の製品は海外でも人気があります。
現在、特に人気があるのは液体の温度によって色の変化を楽しむ「まどろむ酒器
」です。
私も実際に手に取ってみましたが、想像していたよりも軽量で、使いやすい印象を受けました。
また、日本の季節を彩る風物詩が描かれており、日本のみならず、海外の需要が高まっています。
写真3:まどろむ酒器~桜~ 出所:https://threesnow.jp/product/w064/
最後に事業部内の改革です。
これまで「株式会社新越ワークス」では海外の展示会に多数出展してきました。
世界的に有名な米国シカゴでの「National Restaurant Association Show」への出展の経験もあります。
他にも独フランクフルトの国際見本市「アンビエンテ」に毎年出展しています。
そのため、米国や欧州には既に販路が存在し、事業拡大を続けています。
しかし、台湾ではギフト用での販路はあるものの、ざるなど、金網商品の需要については未知数です。
展示会で金網商品の需要があることは明確ですが、今後の展開については熟考しているとのこと。
このように世界進出に向けた明確な計画をお持ちの山後部長に対し、非常に感銘を受けました。
私も山後部長のように、人との関わりを意識し、自分が思い描く未来に向けて日々努力を続けていきたいです。
今回ご協力頂いた「株式会社新越ワークス」スリースノー事業部 取締役 事業部長 山後隼人様に深く感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
(会計ファイナンス学科1年 湯澤杏夏)