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【現代ビジネス研究所・研究助成金採択プロジェクト】『東京で識る東北』プロジェクト

【学生レポート】現地訪問(1)磊々峡、アキウ舎、秋保ワイナリー、こけし作り体験

こんにちは。現代教養学科2年の吉田裕香(よしだ・ひろか)です。

私たち昭和女子大学現代ビジネス研究所の「東京で識(し)る東北」プロジェクトのメンバーは9月4日~6日、2泊3日で宮城県を現地訪問しました。訪れた場所は主に仙台、石巻、東松島、女川です。実際に現地を訪れ、人々と触れ合い、宮城県の現状を震災復興の面や、観光の面から学ぶことが今回の目的です。

私たち学生メンバーは9月3日深夜、東京駅八重洲口鍛冶橋駐車場から夜行バスに乗り込み、およそ6時間かけて仙台駅へと向かいました。仙台駅前に到着したのは午前6時ころで、開いているお店をみつけて朝食を済ませ、8時半にこのプロジェクトの担当研究員の大嶋淳俊先生(宮城大学教授)と、アドバイザーの磯野彰彦先生(昭和女子大学教授)と合流。ここからは学生メンバー10名、先生2名の計12名で行動しました。

まず向かった先は、ホテル「華乃湯」。仙台駅から送迎バスに乗り、40分ほどかけて着きました。ホテル「華乃湯」は温泉地である仙台市郊外の秋保(あきう)にあります。3日間の現地訪問は秋保からスタートです。
ホテルに荷物を置き、私たちはまず「磊々峡(らいらいきょう)」に向かいました。「磊々峡」はハート型に見える岩のくぼみが有名です。その岩を目指して自然歩道を歩いて行きます。自然歩道は緑が豊富で、左側には力強い岩壁と美しい川が見えました。足元は草や泥交じりの土。容易に歩けない場所もあり、普段、東京のコンクリートの上ばかりを歩いている私たちにとっては新鮮に感じられました。

(自然に囲まれた道を12人が1列で進みます。誰の後ろ姿でしょう?)

 

目標にたどり着くまでにも様々な注目ポイントがありましたが、約30分かけてやっとたどり着いたハート型の岩は、個人的な感想としては、なかなか遠く感じました。焦らされて焦らされて(笑)最後の最後にやっと出会えたからかもしれません。確かにハート型にくぼんでいるのですが、すぐ近くまで降りていくことはできず、自然歩道や橋の上からしか見ることができません。雨水のたまった(?)くぼみの中には投げられたコインがたくさん。メンバーも橋の上からチャレンジしましたが、成功したのはたった2人でした(苦笑)。

次に予定していたアキウ舎に向かう前に少し寄り道。向かったのは近くのパン屋さん「コッペ」です。店名からも想像できる通り、様々な種類のコッペパンが並んでいました。外観も可愛らしく、古くからある温泉街に新しい風をなびかせてくれそうな予感がします。

その後、秋保・里センターで軽く休憩。冷房の効いた室内で秋保地方の文化や工芸などを学習しました。そこからまた歩いてアキウ舎へ。アキウ舎の建物は古き良き雰囲気を醸し出しています。シックで落ち着いた雰囲気が日々の疲れを癒してくれそうです。アキウ舎で話をしてくれたのはスタッフの高橋開さん。20代半ばの男性で、株式会社アキウツーリズムファクトリーの社員として自転車ツアーの企画やガイド、観光協会から依頼されているサイクルステーションの設置などを担当しているそうです。
アキウ舎はこの(株)アキウツーリズムファクトリーが運営しています。アキウ舎ができるまでの話、秋保温泉街の歴史とこれからについてなど興味深いお話をたくさん聞くことができました。印象深かったのは、地域連携型の観光についてです。今までの「施設完結型観光」(一つの旅館やホテルの中に飲食や温泉、自然等が集まり、その施設だけで観光が完結してしまう)から、現代のトレンドである「地域連携型」(地域内のいろいろなお店や施設がそれぞれの役割を果たし、地域全体で観光が成り立っている)に移行することが秋保の課題であると話してくれました。私も地域が連携し、秋保全体として盛り上がることに期待したいです。
その後、アキウ舎でランチタイム。アキウ舎では地元の食材をふんだんに使った料理を提供しています。野菜など彩り鮮やかでインスタ映えも間違いなし。シェフのこだわりも強く、味も抜群です。

(苗木ではなく実はタコライス!シャベルに見立てたスプーンでいただきまーす!写真は現代教養学科1年の八田麻生さん)

 

アキウ舎でお腹を満たした後、向かったのは「秋保ワイナリー」。アキウ舎から車でおよそ15分です。到着すると目に入るのはたくさんのブドウ。東京では見られない自然に囲まれたワイナリーの庭でブドウの栽培が行われていました。ここでお話を聞かせてくれたのは毛利親房さん。毛利さんは、秋保ワイナリーのオーナーです。元々建築関係のお仕事をしていたという毛利さん。ワイン通でもなく、お酒も弱い。ワインとは全く縁がなかったそうです。それが、2011年3月の東日本大震災を機に地元をどうしたら復興できるかについて考えるようになります。あらゆる情報を集めた結果、たどり着いたのがワインでした。そして現在は、秋保ワイナリーのオーナーとして宮城県の観光業界を盛り上げています。未成年の多い学生メンバーにとってワインの話は知らないことばかり。ワインの奥深さや日本産ワインの魅力など面白い話をたくさん聞くことができました。

その後また車で訳15分かけて秋保工芸の里へ。ここではこけしの絵付けと箸の漆塗りを体験しました。こけしの絵付けを体験したのは「玩愚庵こけし屋(がんぐあん)」です。店内にはこけしがたくさん。商品として販売されているものもあり、こけしはもちろんこけしをモチーフにした文具なども売られていました。本題の絵付け体験は、まずこけし選びからです。形も大きさもバラバラで、どれひとつとして同じものがないこけしの原形(?)から自分が絵付けしたいものを選びます。それぞれがこけしを選んだところで絵付け体験スタート!赤と黒の2色を使って思い思いのこけしを作成していきます。わたしたちの製作時間は早い人で15分、遅い人でも30分ほどでした。店内のこけしを参考にしながら作るので、絵の苦手な人でも心配はいりません!私も画力には自信がありませんが、自分の作ったこけしが一番かわいい(!)と感じることができました。

(制作したこけし。制作者に似ている…?)

 

今回の現地訪問では、これまで知らなかった宮城にたくさん出会うことができました。秋保には自然もあれば、若者にウケそうなお店もあり、楽しい体験メニューもあります。秋保だけでも1日では知り尽くせない魅力があると心から感じました。東京で調べてイメージする秋保と、実際の秋保は異なる部分がたくさんありました。また訪れたいと素直に思える場所です。他のメンバーがこれから紹介する、2、3日目の石巻、女川、東松島では震災の教訓を風化させてはならないと訴え続ける地元の人の姿を見ることができました。ただ、復興に向けた取り組みなどを聞くと、悲しいことばかりではありません。地元の人の想いが込められた新しい建物とその周りで行われる様々なイベントからは地域の活気を感じました。これからが楽しみです。この3日間で得た知識は大きく、現地に行かなければわからない宮城の魅力や現状を私たちなりにこれから伝えていければと思います。

(現代教養学科2年・吉田裕香)